ヤツガシラUpupa epops(全長28cm)
ヤツガシラは毎年、3月20日頃になると南から日本を経由して北上して繁殖地に向かいます。日本海側の農耕地、河川敷や内陸の都市公園にて中継していきます。特に春の渡りの季節に八重山諸島で多数、通過して行きます。今年は3月19日に、大阪城に約16年ぶりに飛来し連日、大勢のウオッチャーとカメラマンがヤツガシラとの出会いに右往左往しています。
西の丸庭園
ヤツガシラが飛来したのは大阪城公園の西の丸庭園(有料200円で9時から開園。)でした。庭園内の芝生地、柵とお堀の間にて餌を取っていました。
ヤツガシラは特徴のある嘴、道具に例えると「つるはし⛏」状の長い湾曲した形をしています。地上に生息するクモや土を掘り起こして幼虫、カタツムリ、ダンゴムシみたいな生物を餌として、救い上げてパックンと採餌しています。
写真(上)は大阪城ではなく、山口県見島で撮影したヤツガシラですが他の写真と違うのは閉じていた冠羽を扇状に広げた様子です。ヤツガシラは普段、冠羽は閉じていますが、びっくりした時、伸びをした時に冠羽が開きます。そうしたシーンが一番のシャッターチャンスとも言えます。
翼の色合いは白と黒で目立ち、胸は橙褐色。飛んだ時だけでもヤツガシラと識別できるぐらいで、類似種はいない。一度は見たい憧れの鳥の一種でもあります。私は2017年春に、山口県で出会った以来、合っていませんでした。普段は珍しい鳥が出たからと言いながらすぐに見に行くことはあまりないですが、ヤツガシラはいつ見ても、わくわくする鳥です。
大阪城梅林でツグミと出会う
冬鳥や旅鳥、夏鳥にとって、梅林は採餌ポイントで素晴らしい観察地点です。ヤツガシラを観察した帰りはツグミの姿を楽しみました。ツグミは冬鳥として代表的な1種です。秋から冬にかけて群れで行動しながら採餌している風景が見られると思います。
全体の横向き写真ではなく、正面から撮影しました。ちょっとした歌舞伎役者にでも見えるかもしれません。嘴にいっぱい泥が付いているのは、地中にいるミミズが好物なので、掘り起こして採餌していた証拠になります。もうすぐ大陸に向けて日本海を渡ります。
運が良くツグミの瞬膜を撮影する事ができた。眼に注目してみると、眼の色が黒く無く薄い膜で覆われているように見えます。これが瞬膜で角膜を保護する薄い膜です。野鳥を観察している時々、見られますが、撮影のするにはタイミングが必要となってきます。狙って撮影ができないので運がとても良かったです。
バードガイド 久下直哉(くげなおや)
10代から80代までの幅広い顧客に、五感を使ったバードウオッチングをご案内。
大阪城公園から北海道知床、山陰、四国、九州、沖縄県宮古島を範囲。時には
海外の鳥も案内することも。野鳥だけでなく日本酒にも詳しい。
資 格:鳥類標識調査員 鳥見歴30年 ガイド歴16年 詳しいプロフィール。
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