2019年10月にスコット・サイモンさんを訪ねてカナダに行きました。その際の旅日記をまだHPに掲載していなかったの更新したいと思います。
10月2日(水)
カナダ(モントリオール州オタワ)に無事に到着し、いよいよ旅が始まりました。初日はスコットさんが仕事のため、私は「カナダ歴史博物館」を訪ねました。入館すると広いロビーに各州のトーテムポールが建てられていました。特にワタリガラスをイメーージしたものが多く、そのサイズに驚きました。北海道のアイヌ文化にタンチョウの舞やクマの木彫りなどがあるように、カナダでも各地域に先住民族があり文化の一つとして野生動物を模った象徴すべきものが展示されていました。夕方前にスコットさんと再会し、ガッティーノ公園に行きました。夕焼けを眺め明日に備えました。
ワタリガラスをイメージ・象徴している
10/3(木)
オタワから南西に移動し五大湖の一つ、オンタリオ湖にある『Prince Edward Point』『BIRD ObservaTORY』に向けて出発しました。ここはカナダに25ヵ所あるバンディングポイントの一つです。現地には朝早く出発したのですが少し早めのランチ経由で昼過ぎに到着 となりました。
ランチは本場のメイプルシロップを使ったパンケーキ
到着すると最後の見回りで回収されたオオルリをちっちゃくしたようなムシクイ類『Black-throat Blue Warbler』、キビタキに雰囲気が似た『Wello-rumped Warbler』、カナダのキバシリ類『Brown Creeper』を観察させて頂きました。どちらも幼羽の確認により今年生まれでした。放鳥後は調査現場を見学させて頂き、日本の霞網との素材の違いを感じたりしました。
『Black-throat Blue Warbler』
『Wello-rumped Warbler』
『Brown Creeper』
調査用 プライヤー
調査員と共に。中央はサイモンさん。
アメリカムシクイの種類
その後、周辺でバードウォッチングしてムシクイ類の渡りを観察しました。途中、雨が強く降ってきたので16時過ぎに現地を出発して夕食済ませて22時に帰宅しました。スコットさん、長時間の運転中、原住民モハク族の生活についてお話を聞かせて頂きました。ありがとうございました。
調査地点
https://peptbo.ca
10/4(金)
午前中はスコットさんに紹介して頂いた探鳥ポイントであるブリタニアパーク(Mud Lake)へ、バスを使って移動し、午後からはオタワ川の上流にある湿地帯へスコットさんと探鳥に出かけました。
MudLakeに到着し、最初に出会った鳥はアメリカオシドリの群れでした。カラフルな彩りで日本のオシドリとはえらい違いでした。周りにアメリカヒドリの群れもいましたが飛び抜けて目立つカモでした。小鳥類は前日にバンディング際、観察したアメリカムシクイが少数、渡りをしていました。
アメリカオシ
クビワキンクロ観察地
クビワキンクロ生息地
午後からの湿地帯ではカモ類全般でした。潜水性のカモの群れが目立つので何かとスコープで見ると、なんとそれはクビワキンクロの群れでした。思わずカウントしたら、126羽も入って来ていました。日本で1羽、出現してもウオッチャーがざわつく鳥なのに一度に100羽以上みたので大興奮しました。
クビワキンクロ
彼らはまだ、アメリカへの南下中なので観察できて感動しました。ご案内、頂いたスコットさん、ありがとうございました。
10/5(土)
午前中はスコットさんのマイフィールドであるオタワ川の左岸をウォッチング、ランチを挟んで、午後は現地の野鳥の会の探鳥会に参加しました。
オタワ川の左岸では上空をアメリカムシクイ類が渡り、草地ではウタスズメが地鳴きと囀りを交互に鳴きあっていました。林ではキツツキ類の姿もありました。その後、中華を頂いてから探鳥会に参加しました。
ウタスズメ
探鳥会はマド湖とオタワ川の下流の湿地帯へ向かいました。湖はアメリカオシドリをメインで観察しました。湿地帯ではなんと、コキアシシギの姿があり、夢中になって観察、撮影をしました。
コキアシシギ
コキアシシギ
最後は参加者と打ち解け会い、記念撮影してお別れしました。
10/6(日)
朝6時に出発して南へ向かいセントローレンス川のそばにある『クーパーマーシュ保護区』に行きました。現地でスコットさんの鳥仲間と出会い、コースを巡りました。
『クーパーマーシュ保護区』
コマツグミ
最初に展望台よりコマツグミの群れを見つけました。胸の橙色は印象的でした。
コチョウゲンボウ
次に枯れ木に止まり、ハンティング待ちのコチョウゲンボウ雄をゆっくり観察しました。
今年はカナダで、日本より先に観察。トレイルを歩き始めるとウタスズメが右往左往と飛び出してきます。
『Common Grackle オオクロムクドリモドキ』
そして正面から帯状になった小鳥類の群れが上空を通過して行きました。正体は虹彩が白っぽく、全身光沢のある『Common Grackle オオクロムクドリモドキ』でした。群れの迫力にびっくりしました。その後もトレイルを歩き、午前中約3時間、バードウォッチングを楽しみました。
鳥仲間
ランチ
ランチをはさんで午後からはカナダ自然自然史博物館に行きました。
剥製:コモンシギ
鳥展示コーナーはカナダで見られる鳥を剥製にして、注目すべき点の解説が同時にありました。大きさ順、似た者同士、嘴の違い順など分かりやすい展示でした。ゆっくり見ていると時間が無くなってしまいました。
オビハシカモメ
博物館を出て、最後にリドー川にてカワアイサとオビハシカモメを見て終了しました。
夜はジビエ料理のパブに行き鴨料理を頂きました。
クーパーマーシュ保護区
https://rrca.on.ca/page.php?id=7
10/7
朝7時よりスコットさんのフィールドへバードウォッチングに出かけました。そこは渡り途中のホシムクドリの塒となっていました。池の堤防脇の草地ではムシクイ類とウタスズメが出たり入ったりしていました。その後、オタワに移動して、スコットさんは大学へ、私はオタワの街を観光しました。
国会議事堂
ノートルダム教会
教会の中
鳥の絵柄のスタンプ
酒樽の飾られたお店
郵便局、原住民のグッズのお店、ノートルダム教会、市場、最後の夜は酒樽の並んだお店で食事となりました。オタワのセルフガイド、とても充実しました。
最後に
カナダより無事に帰国しました。あっという間の一週間でした。振り返ると初日と後半に2つの博物館(カナダ歴史博物館、カナダ自然史博物館)訪ねました。カナダの原住民は特にワタリガラス、アビ、カナダガンとの関係が深いことがわかりました。ワタリガラスの面を被りダンスする動画も有り、日本のアイヌの文化に近い(タンチョウ、クマゲラ、シマフクロウ、ヒグマ)なぁと感じました。自然史博物館ではカナダでみる野鳥の殆どを剥製にして紹介されいて来年は季節を変えて、この鳥を見たいという気持ちになりました。ウォッチングではスコットさんの自宅近くのマイフィールドやオタワ川上流の湿地帯、下流の畔にある湖と湿地帯、バンディングセンター、また、現地の野鳥の会との交流がありました。
スコットさんのフィールド
日本で記録ある珍鳥「コキアシシギ」「クビワキンクロ」が本来の分布域でゆっくり観察撮影できたこと、現地でバンディングに参加でき初めてアメリカのムシクイ類を手にしたこと、現地のウオッチャーと交流ができたことは、全て、スコットさんのおかげです。最終日前日のオタワの街のセルフ観光では博物館で見つけたシロフクロウを描いた切手やマーケットでメイプルシロップを購入したり、日本酒の樽のサンプルを並べたお店に入ったら日本人スタッフの方がいることもあり、迷うこと無く注文する事ができました。
菊水山での初めての出会い 2017.10.25
2年前に六甲山のムギマキ探鳥会をきっかけにご縁を得たスコット.サイモンさんとは日本滞在中、色々とバードウォッチングして信頼関係を築き上げることになり、今回の旅となりました。
スコット.サイモンさん、色々と調整して頂きありがとうございました。来年は山野、水辺の鳥の繁殖期に期待しています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
カナダガン
バードガイド 久下直哉(くげなおや)
10代から80代までの幅広い顧客に、五感を使ったバードウオッチングをご案内。
大阪城公園から北海道知床、山陰、四国、九州、沖縄県宮古島を範囲。時には
海外の鳥も案内することも。野鳥だけでなく日本酒にも詳しい。
資 格:鳥類標識調査員 鳥見歴30年 ガイド歴16年 詳しいプロフィール。
コメント